京都府
昭和39年に創業し、主にオフィスや店舗向けのオーダー家具を製作する京都市の「株式会社別注家具製作所」様。代表の山本様は、2007年に先代から事業承継し、販路拡大に努め、外部の専門家の支援も積極的に受けながら会社を成長させてきました。労務関係では、既に別の社労士に給与計算などを委託していましたが、複雑化する課題に対応するため、より専門性の高い伴走支援を望むように。そんなタイミングでゆあさ社労士事務所に出会い、2023年春、アドバイザリー契約を締結。社労士としての知見はもちろん、従業員、経営者、それぞれに寄り添う中立的な視点や、課題解決力に大変満足されているようです。その関係性をどう構築していったのか、山本代表と労務担当者様にうかがいました。
株式会社別注家具製作所
ゆあさ社労士事務所
── 会社経営は、最初から順調だったのでしょうか。
山本代表:私は32歳で事業を承継したのですが、その翌年にリーマンショックが起こり、2期連続で赤字を計上するなど、収益は低迷していました。しかし、販路獲得のきっかけを見出してからは、売り上げが上昇し始めました。その後、財務コンサルタントや経営コンサルタント、生命保険会社、税理士といった専門家と契約し、会計や財務面で支援を受けることで成長速度が加速。この経験から、会社経営をより細分化させ、さまざまな専門家の視点を取り入れることが経営の安定化には欠かせないと実感しています。
── 労務関係はどうされていた?
労務担当者 様:給与計算や社会保険などの手続き関係は、当初よりアウトソーシングしていました。
── そのアウトソーシング先との相性はどうだったのでしょうか?
労務担当者 様:給与計算などの手続きはしっかり対応いただけていたのですが、こちらの要望が複雑化し、さらに手厚いサポートを望むようになりました。具体的には、職場で実際に発生した事例について、その状況をしっかり理解いただいたうえで、その都度アドバイスをもらえるようなサポートです。
── 労務面において、どのような不安があったのでしょうか?
山本代表:私が事業承継をしたころは風通しが良い職場とは言いにくい状況でした。社内の人間関係やルールの見直しを進めるとともに、待遇や福利厚生の改善の必要性を感じていました。また、従業員が職場で抱える悩みを気軽に相談できる「従業員のための相談窓口」のようなものを作りたいとも考えていました。
── この数年で、従業員数もぐっと増えていますよね。
山本代表:会社の売り上げは、5年前から2倍以上になり、来期は3倍になる勢いです。現在、従業員数は全38人ですが、そのうち10人は昨年入社し、来春も3人の新卒採用が決まっています。
労務担当者 様:東京オフィスの設立に伴い、東京でも採用を開始。そういった意味でも、労働環境の整備が急務でした。給与計算などの事務作業に加えて、当社が抱える潜在的な課題について、より実務に即したアドバイスや伴走支援をしてくれる社労士を探し始めたのです。
── ゆあさ社労士事務所と出会うきっかけは?
山本代表:信頼している生命保険会社の方から紹介していただきました。その方と退職金制度の構築を進める中で、労務に関する課題が増え、一人労務では対応しきれなくなっていると悩みを打ち明けたところ、適任がいるとのこと。期待が膨らみましたね。
── しかし、湯浅さんからはいったん契約締結を断られたそうですね。
山本代表:はい、湯浅さんに会社に足を運んでいただいたのですが、いきなり「給与計算はできません」とキッパリ(笑)。ただ、その理由を聞くと、ゆあさ社労士事務所は従業員面談などをベースとした伴走型支援に事業方針を移行したいとのこと。そこで思わず、社労士を探した経緯や事情などを打ち明けたのです。
── 会社のニーズと、湯浅さんの強みがマッチしたのですね。
山本代表:はい。それこそが私たちが求めていた支援であり、その場でアドバイザリー契約をお願いしました。初対面でしたが、会話する中で信頼を置ける人だな、と感じられたのも大きかったですね。社労士としてというより、経営者や従業員といった当事者の立場でものを言ってくれる人だと感じました。
労務担当者 様:特に印象に残っているのは、「従業員と面談を行いますが、そのすべてを報告するのではなく、一人ひとりの要望を尊重し、社労士として必要と判断したことだけを報告します」という言葉。この人なら、きっと従業員からの信頼も得られる、潜在的な労務の課題を見つけて、一緒に改善を目指してくれると思いました。
── 契約後、まずはどんなことから取り組まれたのでしょうか?
労務担当者 様:まず、社内にどのような課題があるか把握されたいとのことで、従業員の面談から始めてもらいました。日常会話のような感じで、仕事に対するやりがいや価値観、職場での困りごとや気がかりなこと、業務内容に関する要望などをヒアリングしていただきました。
山本代表:これには、社内の潜在的な課題を把握していただくことで、課題の一時的な解決ではなく、原因を解消させておくという目的がありました。そのため、従業員と湯浅さんが面識を持つように、湯浅さんが社内によくいて、面談することが特別なことではないと職場の全員が認知できる環境を整えました。
── その効果はあったのでしょうか。
山本代表:社内の人間同士では、年齢や所属などを意識して、不満や意見を言いにくいことが多いですが、湯浅さんの中立的・秘匿的なヒアリングだと話しやすいようです。社内で気がかりなことが発生したときに、湯浅さんに相談したところ、すぐに双方にヒアリングをしてくださり、大きな課題になる前に解決することができました。
── 求めていた『従業員のための相談窓口』が整ったのですね。
山本代表:はい。湯浅さんの経営者でも従業員でもない、中立的な立ち位置や関わり方に、私も従業員も信頼を寄せています。湯浅さんとのアドバイザリー契約により、職場の雰囲気は良くなったと実感しています。
── 他にも労務整備で取り組まれたことがあるそうですね。
山本代表:近年の働き方の多様化に対応するため、柔軟な働き方を実現するためのルールを一緒に策定いただきました。フレキシブルな働き方改革を通して年間休日120日を目指す、題して『120日プロジェクト』です。これは、従業員が生活スタイルに合わせて、それぞれの状況に応じた働き方を選択できるプロジェクトで、具体的には、休憩時間をずらしてとることで生産性を上げる「スライド休憩」のほか、「時差出勤」や「シフト出勤」の導入を目指したものです。
── 『120日プロジェクト』は、従業員が中心の取り組みと聞きました。
山本代表:はい。従業員が中心となって進めています。というのも、このプロジェクトは、売上利益計画の達成と労働時間短縮が目的であり、生産性の向上が不可欠です。そこで、各部署の代表者が月に一度集まり、目的達成に向けてどう取り組むのか検討しています。
労務担当者 様:その会議には、評価制度の専門家とともに、湯浅さんにも参加していただき、勤務形態などについてアドバイスをいただいています。新しい働き方を試みる際は、労務的に問題がないかチェックしていただけるので安心です。
── 退職金制度も完成されたそうですね。
山本代表:退職金制度の整備は、従業員のモチベーションを高めるために重要な取り組みであり、長年の課題でした。湯浅さんには、専門的な知見をもとに、生命保険会社の方と連携して退職金制度を完成してもらいました。
── 会社にとって湯浅さんはどんな存在ですか。
山本代表:経営課題の“絡まった糸”を解いてくれるような存在です。また、私を含め、当社で働くみんなにとって「いつでも相談できる人」というのも安心感につながっています。社労士として業務を請け負っているというより、社労士の知識を用いて、良い職場をつくるコンサルティングをしてくれているイメージです。
労務担当者 様:時代と共に、働き方に対する考え方は変化します。社長と私、湯浅さんの3人で毎月面談をしていますが、例えば終身雇用制に対する世代間のギャップについてなど、どんな小さなことも相談できる安心感は大きいです。労務の正しい知識を身に付けられて勉強にもなりますね。
── 今後もゆあさ社労士事務所に期待大ですね。
山本代表:これから従業員が40人、50人と増えるでしょう。働き方はさらに多様化し、人数が増えることによる課題はより複雑化、潜在化する可能性は高いと考えています。そのような課題の洗い出し、解決に向け、会社に寄り添った支援をお願いしたいです。さらには、バックオフィスの改革も必要です。就業規則などの整備についてのアドバイスもしていただきたいと考えています。
ゆあさ社労士事務所
京都府出身。社労士のほかに、経営心理士などの資格も持つ。サラリーマンや国家公務員、税理士事務所での経験を経て、「経営者も従業員もしんどいなら、会社自体が変わる必要がある」という思いに至り、社労士事務所を開設した。
京都市長岡京市馬場1丁目4-4 グランデール21 202号
https://yrd.co.jp
【事務所DATA】
創業年 :2016年
従業員数 :3名
正社員数 :0名
平均年齢 :47歳
男女比率 :3:7
※2024年11月1日現在