社労士物語

京都府

伴走型の労務支援で組織を変える。人を軸にしたアプローチで、潜在的な課題を解決へと導く社労士事務所

奈良時代末期、平城京と平安京のはざまの約10年間、都がおかれた長岡京。幻の都ともいわれるその名を残す長岡京市は、京都府の南西部に位置します。その中心地にある長岡京駅から徒歩圏内にあるのが「ゆあさ社労士事務所」です。京都駅から電車で約10分という便利なロケーションながら、豊かな自然が残るおだやかなエリアです。

社会人経験が導いた、「社労士」という選択

「ゆあさ社労士事務所」代表の湯浅卓磨さんのキャリアは、大学時代に社会学を専攻したことに始まります。雇用関係や労働法を学んだ延長で在学中に社労士試験を受験しましたが、結果は不合格。「今思えば、当時は社労士資格の取得にこだわっていたわけではなく、試験自体もノリで受験したようなものでした」と振り返ります。

大学卒業後、歯科材料メーカーや大阪労働局にて勤務。印象に残っているのは、初めて給与明細をもらった時のこと、健康保険料や厚生年金保険料などが引かれているのを見て「これはどういうことなんだ?」と疑問に思ったといいます。大学や社労士受験で勉強したはずの言葉が並んでいるのに、その仕組みが理解できていませんでした。学んでいた内容が自分事になったことで、改めて社労士資格に興味がわいた湯浅さん。「私は昔から何かに没頭している時が、一番力を発揮するタイプなんです。勉強もスポーツにおいてもそうでした…」と話します。思い切って当時勤めていた会社を退職し、5か月間短期集中で勉強に没頭した結果、2度目の試験で見事合格しました。

従業員の想いも経営者の想いもわかる―、自分の役割が明確に

社労士資格の取得後、就職先を探す中で、税理士が基本的な労務手続きを行うケースがあることを知った湯浅さんは、税理士事務所に就職。税理士補助として顧客企業を巡回するうちに、多くの経営者が「人」に関する問題で悩んでいることに気づきます。「経営者からは『人がうまく育たない』『すぐに辞めてしまう』という悩みをよく聞きました。しかし、多くの企業では、その具体的な原因が特定できておらず、そのせいで問題を放置しているケースが目立ちました」。

一方で、企業の従業員に目を向けると、働くことに“しんどさ”を感じている人々の存在にも気が付きます。「思い返せば、自分自身もサラリーマン時代に同じようなモヤモヤを抱えていました。パワハラに近い言動につらい思いをしたこともありますし、押印を何人かにもらうような、作業も非効率に感じていました。『ここを改革すればいい』と誰もが分かっているのに、何か進めるためには手順を踏まないといけなかったり、根回しが必要だったり…。非合理的に感じるルールが多すぎて苦痛でしたね」。

そんなサラリーマン時代の経験と、経営者たちの声が重なり、至ったのが「会社自体が変わる必要がある」という想い。この想いを実現させるために、社労士資格を活かしたいと考えるようになりました。

依頼を断るつもりで訪問した企業との出会いが転機に

2016年、湯浅さんは当時勤務していた税理士事務所での仕事ぶりを認められ、税理士事務所の一角で「ゆあさ社労士事務所」の開業に至りました。その後、レンタルオフィスやコンサルティング会社との協業を経て、2022年に京都府長岡京市に事務所を移転しました。開業当初は前職からの紹介や引き継ぎ業務がほとんどで、湯浅さんが理想としていた労務における伴走型支援はなかなか実現できなかったといいます。

そんな中、知り合いの生命保険会社から「ある企業が社労士を探している。現在は他の社労士と給与計算などの契約をしているが、社労士の変更を検討しているらしい」との話が舞い込みます。しかし、ゆあさ社労士事務所は、メイン業務を給与計算の受注ではなく、従業員面談などをベースとした伴走型支援に移行中だったため、断るつもりでその企業を訪問しました。「お客様へは、自身が目指している伴走型支援は給与計算などの事務的な業務ではないことを正直にお伝えしました」。

ところが、その企業の返事は意外なものでした。その場で「ぜひ、アドバイザリー契約を結んで、労務における伴走型支援をしてほしい」と依頼されたのです。というのも、その企業が求めていたのは、事務的なサポートではなく、社内の潜在的な課題や社員の悩みに寄り添い、解決へと導く伴走者でした。この出会いが、湯浅さんの理想とする伴走型支援の実現に向けた大きな一歩となったのです。

社員面談を重視したアプローチ

契約後、湯浅さんが最初に取り組んだのが、社員一人ひとりとの面談でした。一般社員だけでなく、社長をはじめとする幹部陣まで、全員と面談を行いました。「人の話を聴くことや、人の変化に気づくことが得意だったので、面談を通して相手が抱えている不安や悩みを引き出し、その根本的な原因を一緒に探ることを重視しました。そして、『こんな考え方もできますよ』『こういう見方はどうですか』と、さまざまな視点を提案することで、新たな気づきや解決に向けたヒントを提供したいと思いました」。

何度も顧問先へ足を運び、社労士という中立的な立場で話を聞くことを繰り返すうちに、徐々に信頼を得始めた湯浅さん。直接お客様のもとへ訪問し、リアルで人と話すからこそ感じ取れることがあります。こうした「人」を軸とするアプローチこそが自身の強みであり、「ゆあさ社労士事務所」の武器になると確信します。

理想の企業の姿へ導く伴走型支援

ゆあさ社労士事務所の労務支援は、企業が自ら問題を発見し、解決に向けて動く力を育むことを重視しています。企業が抱える問題に、直接的により近くで関わりながら、社労士の知識を活かしてアドバイスを行い、企業と共に解決策を模索するスタイルです。

対面での打ち合わせを重視

潜在的な課題を発見するために大切にしているのが、顧問先企業の雰囲気や、従業員の表情などを自ら感じ取ること。そのため、打ち合わせは訪問による対面形式が基本です。現在、顧問先は京都府内や近隣地域に集中しており、主に従業員数は30名程度の中小規模の企業が中心となっています。

経営心理士の資格も取得し、より“人”に近い支援を実施

さらなる支援力向上のため「経営心理士」の資格も取得。これは企業の人を育て、売上を伸ばし、組織を拡大させ、業績向上に貢献するための専門資格です。湯浅さんは「現場で働く人たちと雑談したり、職場を観察したりすることで、彼らが抱える課題やモヤモヤが見えてくるのです」と話します。

今では、顧問先企業の従業員との距離も大変近くなったそうです。「顧問先へ打ち合わせに行くと、従業員の方から『後でちょっと寄ってね』と声を掛けられることも。もちろん労務に関する相談がメインですが、雑談も結構多くて(笑)」。経営者や労務担当者だけでなく、従業員にとっても気軽に相談できる存在として信頼を得ています。それが結果的に企業の成長のサポートに繋がっているのです。

「答え」ではなく、「考える力」を提供

企業自らが課題に気付き、解決に向けて動くことを重視しているため、「答え」だけを提供する手法には積極的ではありません。「あくまでも自分達の会社の問題には、自分達で向き合って考えて、決断をしてもらいたい。それが会社の成長につながると考えています」。課題の解決に向けて、企業に寄り添う伴走型の支援を行っています。また、そうした手法を優先するため給与計算や助成金申請といった単体業務は受託していません。企業が主体的に成長できるよう、包括的なサポートを提供しています。

雇用する側もされる側も、生き生きと働ける組織へ

“人”を軸にした労務における伴走型支援を行う「ゆあさ社労士事務所」。湯浅さんは「広くいろいろな人と関わりを持ち、本当に必要な時に『相談してみよう』と思ってもらえる存在でありたい」と語ります。雇用する側とされる側の双方に寄り添いながら、一人ひとりが生き生きと働ける組織づくりを支援し、企業の成長を力強くサポートしています。

この社労士の特長

ゆあさ社労士事務所

湯浅 卓磨 (ゆあさ たくま)

京都府出身。社労士のほかに、経営心理士などの資格も持つ。サラリーマンや国家公務員、税理士事務所での経験を経て、「経営者も従業員もしんどいなら、会社自体が変わる必要がある」という思いに至り、社労士事務所を開設した。

京都市長岡京市馬場1丁目4-4 グランデール21 202号
https://yrd.co.jp

【事務所DATA】
創業年  :2016年
従業員数 :3名
正社員数 :0名
平均年齢 :47歳
男女比率 :3:7

※2024年11月1日現在

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