安全な職場環境の整備は、従業員の命と健康を守るだけでなく、企業の信頼や生産性にも直結する重要なポイントです。毎年実施される「全国安全週間」は、そうした職場の安全衛生について見直すべきタイミングです。本記事では、全国安全週間の歴史と目的を解説しながら、安全衛生の取り組みを強化するうえで頼れる専門家「社労士」の具体的なサポート内容をご紹介します。
全国安全週間は、厚生労働省と中央労働災害防止協会の共催により、1928年から毎年実施されている労働災害防止運動です。例年、7月1日~7月7日までの期間にて、全国の事業場で自主的な安全衛生活動の促進が呼びかけられます。
2025年のスローガンは「多様な仲間と 築く安全 未来の職場」です。このスローガン背景には、労働現場の多様化があります。高齢者の就労、外国人労働者の増加、パートタイマーやフリーランスとの協業など、これまでとは異なる働き方・働く人が増える中、すべての人が安心して働ける職場をどう実現するかが問われています。
厚生労働省のデータによると、令和5年の労働災害による死傷者数は約14万人となっています。特に多いのは、転倒、動作の反動・無理な動作、墜落・転落といった日常的な作業中の事故です。また、気候変動の影響による熱中症や、過重労働によるメンタル不調も無視できないリスクとなっています。
こうした課題に対して、単にスローガンを掲げるだけではなく、具体的かつ実効性のある安全対策を講じることが企業に求められています。
社労士は、労働・社会保険に関する専門知識をもとに、企業の労務管理や安全衛生施策をサポートできる国家資格者です。特に中小企業においては、安全衛生の専門部署を設けることが難しい場合も多く、社労士に以下の内容を依頼するケースが増えています。
社労士は、労働安全衛生法をはじめとした法令に基づき、企業の実情に即した安全衛生管理体制の整備とその継続的な運用を行うことが可能です。
例えば、常時50人以上の労働者を雇用している事業場では、「産業医」や「衛生委員会」などの設置が義務づけられており、これらを怠ると法令違反となる可能性もあります。社労士は、これらの人員の選任手続きや、委員会運営のフォロー、労働基準監督署への届出書作成など、実務的な対応を一貫してサポートします。
安全意識を職場に根づかせるためには、単発的な注意喚起ではなく、継続的な教育・研修が必要です。社労士は、企業の業種・規模・従業員構成などに応じて、実効性のある教育プログラムを立案し、実施をサポートすることが可能です。
例えば、新入社員を対象とした安全衛生に関する導入研修では、「職場で起こりやすい事故例」や「基本的な労働安全衛生法のポイント」、「作業前の確認事項」などを、動画やチェックリストを活用して分かりやすく伝えます。
また、管理職向けには、部下の異変に気づく視点、リスクアセスメントの手法、労働災害発生時の初動対応など、実務に直結する知識や判断力を身につける研修も期待できます。
職場の安全を支える基盤として、社内ルールやマニュアルの整備も必要です。社労士は、就業規則や安全衛生規程、ストレスチェック制度などを、法令に基づいて適切に作成・変更することができます。これにより、万一のトラブル時にも迅速かつ的確な対応が可能となります。
また、実際に労働災害が発生した場合には、労災保険の給付申請や労働基準監督署への報告書作成、原因分析と再発防止策の検討など、一連の流れを社労士がサポートします。第三者としての視点を活かし、経営陣と現場の橋渡し役として機能することも社労士の強みです。
全国安全週間は、単なる恒例行事ではなく、企業が安全衛生体制を見直し、労働災害を防ぐための重要なきっかけです。特に近年は、働く人々の多様化や複雑化するリスクへの対応が求められており、企業単独で十分な安全対策を講じるのは難しくなっています。
こうした中で、社労士は専門知識と現場感覚の両面を備えた心強いパートナーとして、安全衛生の実務をサポートしてくれます。体制の構築から、従業員教育、規程整備、災害発生時の対応まで、幅広い場面で専門的な支援を受けられることは、企業にとって大きな安心に繋がります。
「より良い職場環境を整備したい」といった想いを抱えている企業こそ、この機会に社労士と連携し、従業員が安心して働ける職場づくりを進めてみてはいかがでしょうか。
労務の灯台 編集部
ハタラクデザイン合同会社が運営するWebメディア「労務の灯台」編集部。様々な角度から社労士の関連情報をお届けすることで、自社の価値観に合った社労士を見つけてもらいたいと奮闘中。